1.2311 と 1.2738:適切なプリハードン金型鋼の選び方
どちらもプリハードンされた P20 系金型鋼です。1.2738 に含まれるニッケルが選択の決め手となります。ここでは、それが重要になる場面と、1.2311 で十分な場面を解説します。
結論を先に
小型・中型の金型には 1.2311 を選んでください。ブロックが厚い場合(目安として 400 mm 超)や、キャビティに高度で均一な鏡面仕上げが必要な場合は 1.2738 を選んでください。
実際に異なる点
| 1.2311 | 1.2738 | |
|---|---|---|
| ニッケル | — | 0.90–1.20% |
| 厚肉部における硬さの均一性 | 中心部に向けて低下 | 表面から中心まで均一 |
| 研磨性 | 良好 | より良好 |
| 価格 | 低い | 高い |
ニッケルが重要な理由
プリハードン金型鋼は納入前に焼入れされています。厚いブロックでは中心部の冷却が遅くなり、通常の P20 系成分では軟らかくなってしまいます。ニッケルは焼入性を高めるため、1.2738 は断面全体を通じて 290–330 HB を保持します。これはキャビティがブロックの深部に位置する大型自動車用金型にとって決定的に重要です。
コストの考え方
価格差は実在しますが、大型金型の加工コストに比べれば小さいものです。~300 mm 未満のブロックでは、1.2311(または P20)でより低コストに同じ結果が得られます。それを超える場合は、1.2738 が割安な保険となります。
最終更新 2026-11-03. Part of the Steel.Wiki guides — see all guides.
